カオルのアトリエ〜ザールブルグの錬金術士〜4

       〜相反する者との出会い〜

 

俺達がザ−ルブルグに来てから数週間。

 

アトリエの方も軌道に乗り、なんとかやっていけそうだ。
精神的にも時間的にも余裕ができた俺は天気もいいし街を散歩することに決めた。

 

 

さすが城下町だけあって本当に賑やかだな。最近工房にこもりっきりだったから何もかもが新鮮だ。

いろいろ珍しい物も売ってるなぁ

 

ぼんやりしながら街を散歩しているといつの間にか大きな教会の前に着いていた。
 
 それにしても歴史を感じさせる教会だなぁ。

こんな立派な教会、ロブソン村にはなかったからな・・
 
 せっかく来たんだからお祈りして帰るか。

    

 

「こんにちは。お祈りにまいられたのですか?」

「うわっあっはい!」

突然声をかけられびっくりした俺はつい、間抜けな返事をしてしまった。
「あっいえ 立派な教会だったものでつい入ってしまったんす。

俺の村にはなかったんで。すいません」

 

いかにも人の良さそうな神父はにっこり微笑むと、

「そうですか。それではゆっくりしていってください。」

と言ってくれた。

 

 

 「ところで貴方はどこからこられたのですか?」

「あっ俺はカオル・カイドウっす。

ロブソン村から錬金術を広めるためにザールブルグに

やってきました」

 

「錬金術?それはいったいどういう術なんですか?」

「やっぱりあまり知られてないんすね。例えば木を鉄に変えるとか、鉄を金に変えたりする

術のことです」

と、俺が言うと、神父は悲しそうな顔をした。俺何か変な事を言ったか?

 

「そうですか・・それは私はあまり賛成できませんね・・」

「えっ、どうしてっすか?」

 

「鉄を金に、ということはこの世の中にある物質そのものをねじ曲げることです。

世の中のあらゆる物は、本来あるべき姿でいることがもっとも調和がとれていることなのですよ。 

たとえば一本の木から確かにそれは杖ですが、同時に木でもあるのです。鉄ではありません。

この教会ではそういう自然の姿や調和などを教えています。申し訳ないんですが正反対の考え方なんですよ。」

「・・・・」

「申し遅れましたが、私はここの教会の神父、シュウイチロウ・オオイシと言います。

困った事などがあったら、いつでもいらしてください」

「あっはい。ではまた来ます」

 

こうして、なんとなく疲れた俺は、今日はもうおとなしく帰ることにした。

新しい学問を広めるのは時間が掛かるというのを実感した一日だった。

 

                          H16.10.14  UP

 

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やっと続きが書けました。凄い時間がかかったよ・・

なんとなく腹黒い大石が出来上がりました。神父役がぴったりだ!

 

これで後2人(手塚は番外編で出したので)書いたら物語が進められる(泣)

 

 

 

 

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